〇〇病院診療看護師(NP)のお勉強用

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ノルアドの次に使う昇圧剤は何が良い?

血管拡張薬の分類

心毒性のないもの

・Phenylephrine

・Vasopressin

・Angiotensin-II

フェニレフリンは単純なα作用だけですので,血圧低下の際に合計10mlに薄めて1mlづつ血圧を見ながら使う方法が一般的かもしれません.

ノルアドレナリンの次の薬剤として使うには,α作用の後押しになるのでノルアドレナリンを使用してもDistributiveに血圧が低下するような症例には持続投与で使用しても良いかもしれません.

ただ,フェニレフリンの大規模研究は少なく決着がついていないというところだと思います.

 

バゾプレッシン(AVP)はノルアドレナリンの次の昇圧剤としての地位を確立している薬剤と言えます.

以前は,心静止の心拍再開を増やすのではないかと言われた時期もありましたが,現代では心停止症例に使うこともなくなりました.

一方,VASST studyでは0.3γ程度を目処にAVPを使用していましたが,近年ではその出番は早くなってきています.

もしかしたら近い症例,AVPを先に使うことになることもあるのでしょうか・・・

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmoa067373

 

アンギオテンシンIIは,日本では使えません.

ATHOS-3 trialはNEJMにアクセプトされましたが,プライマリアウトカムはノルアド0.2γ以上使用している人のベースラインからのMAP≥10もしくはMAP≥75以上となっています.

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmoa1704154

 

死亡率改善効果は,近年流行りの個別化で症例を選択すれば効果があるかもしれません.

現時点では,明らかな死亡率改善効果とまでは言えない結果のようです.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9830054/

 

たまに,ノルアドレナリンやバゾプレッシンを使用しても,昇圧できないケースもあるので,日本でも使えるなら使う機会はICUではそれなりにありそうな気がします.

 

心毒性のリスクのあるもの

・Epinephrine(Strong)

・Norepinephrine(Weak)

・Dopamin(Strong)

エピネフリンは強力なβ作用があるので,基本的にはショットでの使用は禁止されている薬剤です.

ただし,心停止や重症のアナフィラキシーの場合は,ショットで使うこともあります.

というか,心停止の場合は「とりあえずビール」と同じ感覚で,とりあえずアドレナリンの静脈注射もしくはルートが選択できない場合は,骨髄内注射が行われます.

重症アナフィラキシーの場合は,10倍に薄めて1mlづつショットで使う方法もありますが,下手したら昇圧や不整脈誘発作用もあるのでかなり慎重に使う必要があるという認識でいた方が良いでしょう.

つまり,ノルアドの次に持続注射で使う薬とは言い難いといえます.

 

ノルアドレナリンの場合は,もっとも一般的な薬剤です.

ただ,普通に使われ始めてから20年以上経過していますが,いまだに数アンプルを吸わなければならないのは面倒です.

3mgトータル50mlとか6mgトータル50ml製剤のノルアドレナリンを出してくれたら,売れると思います.

ただ,古い薬なので薬価も相当安いはずなので,商売にならず作っていないだけなのかもしれません.

ノルアドレナリンの場合は,多少なりともβ作用を持つ薬剤になります.

そのため,心毒性がないかと言われればそうではない,というのが回答になります.

 

ドパミン製剤の場合は,すごく一般的に使用されてきました.

ANZICSという団体が,少量のドパミンの効果を否定したのが2000年です.

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(00)03495-4/fulltext

この研究が出された後も,普通に使われ現代でも使われている薬剤です.

 

ドパミンの問題は,催不整脈作用です(SOAP II Study)..

心房細動が増加します.

心房細動はショックで昇圧剤を使っている人にとっては,致命的といえる状況です.

つまり,心房細動にならない方がよいので,(当たり前だけど),不整脈の少ない薬剤を使用するということは理にかなっています.

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmoa0907118

 

今日はこの辺で終わり