医師の直接的指示に法的妥当性はあるのか?
臨床工学技師が放射線照射
神戸大学病院で,臨床工学技士が放射線を照射したとして問題になっているようです.
記事には,医師の直接的指示で臨床工学技士へ放射線照射のボタンを押していた,ということのようです.
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230523-OYT1T50329/
何が問題なのか
単純に,法律違反と捉えられたということに過ぎません.
臨床業務としては,臨床工学技士がこれらの処置を行ったほうが,おそらく患者さんには有益で,現場で働くものとしてもとても助かっていたことが予測されます.
問題は,法律違反と捉えられたという,この1点だけだと思います.
医師がその場にいて,直接的で具体的な指示を出しているのに,ボタンを臨床工学技士が押しただけで問題になっているのですから..
例えば理学療法士の吸引問題
例えば理学療法士(PT)は,理学療法を行って痰を排出させたとしても,その痰を吸引することはできませんでした.
現在は,法改正がなされた(その辺は詳しいことはわかりません)ようで,できるようになっています.
在宅での重症心身障害児の場合は,医療資格のない両親でも気管吸引が行えるのに,リバビリの専門家で呼吸療法の専門家が気管吸引をできないのは,やはりおかしいのです.
つまり,物事とは常に問題にさらされ「問題として認識し,その問題を粗上に載せないと議論が進まない」のです.
診療看護師(NP)の場合
診療看護師の場合は,特定行為と直接的医行為に分けられています.
特定行為は,研修を終了し医師の事前指示があれば施行可能なものです.
しかし,医師の直接的指示には基本的には医師のみにしか行うことの出来ないものが含まれています.
その医師のみにしか行うことのできない手技を,看護師に行わせるために直接的指示による医行為というものがあります.
例えば,中心静脈カテーテル留置や胸腔ドレーン留置などがその代表です.
要は上手な人が行えば良いのですが,医師でも下手な人はいるし,診療看護師でも上手な人はいます.
そのため,リスクヘッジをどのように担保するべきかという点に本来は重点が置かれるべきなのですが,診療看護師の場合はこれらの処置ができると声高にアピールしている場合が見受けられます.
でも,本当にその処置は大丈夫なのか?
看護師である自分が行って良いのか?
きちんと考えてから行うべきだと思います.
これは高度な処置が「できる」「できない」という2言論的な問題ではなく,この問題が通じない(言葉が通じない可能性の高い)お役所がどのように判断するかということです.