〇〇病院診療看護師(NP)のお勉強用

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【RESCUE-ASDH Trial: 2023 NEJM】

 
頭部外傷は、個人的に最近あまり見なくなりました。
以前の施設では、ほんとに多くて頭部単独での重症頭部外傷も沢山みてきました。
そんななか、急性硬膜下血腫は初療室で即HITTという穿頭で硬膜を切開し、その後に手術室で減圧開頭を行うというのが一般的に行われていました。
 骨を外してくるかどうかは、その時の脳神経外科医の判断で行われていました。
たとえば、DECRA trial(2011NEJM)の結果をみてからは、そんなに利益はないのかななんて思っていました。
この領域は、まだまだわからないことが多いとともに、根拠に基づく医療が実践されていない領域の代表ともいえます。
今回の研究は、急性硬膜下血腫の減圧開頭で骨を外すか外さないか(ということだと思う)で比較しています。
減圧開頭の基準は11cm以上の頭蓋骨のフラップとされました。
主要評価項目は、12ヶ月時点での拡張グラスゴーアウトカムスケールというものが用いられました。
主要評価項目に有意差はなく、死亡率、植物状態、上下肢の回復等も評価されていますが有意差なしでした。
2週間以内の手術は、外減圧のないCraniotomy群で14%、外減圧群で6%と有意差を生じています。
この結果をうけてとりあえず減圧を急ぐことに変わり無いでしょうが、手術室での外減圧までは必ずしも必要ないと言えるかもしれません。
骨がないと、看護的にも顔の向きとかが決まってしまうので結構たいへんというのもあります。
一度外した骨は、また戻す必要があるので回復しても再手術が待っています。
とはいえ、過去に外減圧をして助かってきた人もたくさん見てきたので、どうなんだろうという思いもありますが、外減圧が効いたというよりは血腫除去がメインで効いたということなのでしょう。