NP創設で在宅医療の問題解決は「あり得ない」のか?
NPとは
NPとは主に米国におけるNurse practitione(ナースプラクティショナーの事です.
Nurse practitionerの場合は,医師と比較して遜色がないことが多くの研究において示されています.
そして,医療コストも安価になるということで,Nurse practitionerが現代では割と一般的な職種になっているようです.
診療看護師(NP)とは
Nurse practitionerに倣い,日本でも導入しようと過去様々な議論がなされてきました.
医師会の猛反対もあり,いわゆる「特定看護師」という折衷案で落ち着いたというのが個人的な感想です.
日本における診療看護師(NP)の場合は,資格は看護師で特定行為ができるというものに過ぎません.
そのため,Nurse practitionerのような仕組みを法制度の範疇で解釈し,施設単位で実践しているというのが実情になります.
決して,処方権や医行為ができるというものではありません.
NP創設での在宅医療
まず,先にも書きましたがNurse practitionerという職種自体が国家資格等で認められているわけではありません.
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=74809
ここに書いてる記事の内容をまとめますと,以下の内容になります.
・医療安全など悪影響も
・訪問ナースが医師と連携を取れず重篤となった事例はまったくない
・医師が必要な薬剤を予め処方しておけば,対応できる
医療安全など悪影響も
これは,医師とNPと比較してNPの場合は悪影響が起こる,ということを言っているように思います.
本当なのでしょうか?
そもそも日本において,そのようなエビデンスに乏しいため「なんとも言えない」というのが個人的な感想です.
「悪影響」に関しては医師の場合も同様で,多くの意思がPolypharmacyとして沢山の処方を行っています.
その結果,有害事象が多数生じているのも現状です.
悪影響というのであれば,全てのデータを開示して然るべきだと思います.
物事は常に比較によりなされます.
国主導の研究ベースで特区として,ランダム化比較試験(RCT)でも行えばすんなり決着はつくと思います.
RCTが行えないというのは,日本の法制度の問題があるということでしょう.
訪問ナースが医師と連携を取れず重篤となった事例はまったくない
「まったくない」は誇張された表現です.
「まったくない」はありえません.
この記事で紹介されている根拠に,アンケートの回収率が6%でうち70%が重篤となった事例を経験しているとされています.
そもそも,このアンケート調査だけでも多くの方が医師と連携が取れずに重篤となった事例を経験されています.
回収率が6%とはいえ,既に多くの方が経験されています.
これは,訪問看護師や臨床で救急を応需する医師であれば,日常的に毎日のように経験している事例ではないでしょうか.
医師会の方々の場合だけ,経験していないということは,仕事していないんじゃないかな,と疑いたくなるような表現です(記事の書き方に誇張表現があるのかもしれませんが).
医師が必要な薬剤を事前に処方しておけばよい
たしかにそれで良いでしょう.
ただし,その場合は医療安全上の問題が生じます.
言っていることが真逆です.
訪問看護の場合どのように運営されているのか分かりませんが,必要と思われる薬剤を事前に処方しその処方を適用するということは患者さんを見ていないわけ(診察していない)ですから,そもそも違法です.
患者さんの状態というのは,時に急に変化を起こします.
週2回椎の訪問を行ったとして,訪問の翌日には急変する場合もよくあります.
医師が診察していた場合でも,3世代セフェムやキノロンなどの抗菌薬を処方された結果,よくわからない感じになることもよくあります.
これは,抗菌薬を処方するべきではないということが言いたいのではなく,処方するのであればちゃんとやりませんか,ということです.
感染臓器の推定・病原微生物の推定から,必要な抗菌薬を処方すべきです.
実際は,安易に処方されすぎている印象です.
これがNPに変わればどうなるか,と言われるともしかしたら余計な抗菌薬処方が増えるかもしれません.
そのあたりに関しては,データがないのでわかりませんが,処方の上乗せにより医療費増加に加担する必要はないと思います.
まとめ
・NP創設で在宅医療の問題解決はありえなくない
・これからの時代は,在宅なので訪問看護師に医師の一部の権限をシフトすべき
・医師ー看護師の間の職種として,NP創設というのも根本的解決にならないとしても,在宅における医療の質は良くなるような気がします.
・医師と看護師は共闘関係にあるわけではなく,本来協働すべき