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CVVHDF中の除水速度

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近年、重症患者における持続的な静脈静脈血液透析(CVVHDF)におけるNET除水速度(NUF: net ultra filtration ratio)率と臨床アウトカムの関係に焦点を当てた研究が行われ、その結果が注目を集めています。特にNUF率が1.75 mL/kg/hを超える場合、生存リスクが低下する傾向が見られるという驚くべき結果が得られました。

 

研究概要

この研究は、CVVHDFを受ける1508人の患者を対象に行われ、そのうち1465人のデータを分析対象としました。NUF率が1.75 mL/kg/hを超える患者は、1.01 mL/kg/h未満の患者と比較して、7日目から90日目までの90日生存率が低かったことが示されました。この傾向は特に、NUF率の高い患者で死亡率が増加していることが明らかになりました。

 

結果と意義

1. NUF率と帰属リスク

NUF率が1.75 mL/kg/hを超える場合、90日生存率のリスクが1.66倍に増加し、これは積算陽性液体収支に関連するリスクよりも高かった。特に7日目以降にこのリスクが現れ、NUF率を1.75 mL/kg/h未満にすることで修正できる可能性が示唆されました。

2.生物学的説明

遅発性死亡の生物学的な説明として、NUF率が高い場合に循環量の減少が起こり、心臓への灌流が低下して心筋虚血が引き起こる可能性が挙げられました。また、NUF率が高い場合には心臓のリモデリング心不全のリスクが高まることが指摘されました。

3.最適なNUF率

研究は、NUF率が1.75 mL/kg/h未満の方が最も低いリスクと関連していることを示しました。これは他の末期腎不全患者の研究と一致しており、ランダム化臨床試験が必要であることが強調されています。

 

臨床への示唆

この研究の結果は、CVVHDFを受ける患者においてNUF率が臨床アウトカムに影響を与える可能性があることを示唆しています。しかしながら、ランダム化臨床試験が必要であるため、これらの結果を直ちに臨床実践に適用することは慎重であるべきです。

臨床医は患者の状態に応じてNUF率を調整し、特に7日目以降はNUF率を1.75 mL/kg/h未満に抑えることで、生存リスクを低減できる可能性があります。ただし、NUF率の調整は患者の治療期間や液体除去の必要性とのバランスが求められます。

 

結論

この研究は、CVVHDFを受ける患者においてNUF率が生存アウトカムに関連している可能性を示唆しています。しかし、未測定の危険因子による残存性交絡の可能性を排除するためには、ランダム化臨床試験が必要です。今後の研究がこれらの結果を裏付けるかどうかに注目が集まります。