〇〇病院診療看護師(NP)のお勉強用

ただ勉強した内容のシェア(たまに活動報告)

急性腎障害におけるRRT遅延戦略の検証


https://www.thelancet.com/article/S0140-6736(21)00350-0/fulltext

 

背景

急性腎障害(AKI)に対する腎代替療法(RRT)の適切なタイミングについての議論は長らく続いてきました。近年の研究では、特に合併症がない場合にRRTの遅延が安全であり、医療機器の効果的な利用を可能にする可能性が示唆されています。しかし、適切なRRT遅延の期間についての不確実性が残っています。

 

方法

フランスの39の集中治療ユニットで行われたランダム化比較試験では、急性腎障害患者が対象とされました。患者は尿少量が72時間以上続くか、または尿素窒素濃度が112 mg/dLを超える条件下でモニタリングされ、その後、遅延戦略またはより遅延した戦略にランダムに割り当てられました。

 

結果

278人の患者がランダム化され、遅延戦略とより遅延した戦略にそれぞれ割り当てられました。RRTに関連する合併症の数は両グループで同様でした。RRTなしで生存していた日数については、遅延戦略とより遅延した戦略で有意な差は見られませんでしたが、より遅延した戦略は60日の死亡率に有意な上昇を示しました(ハザード比1.65倍)。

 

考察

遅延したRRT開始がRRTなしでの生存に追加の利益をもたらすかどうかは明確ではありませんでした。また、より遅延した戦略は死亡率に関連して悪影響を示したことから、RRTの開始タイミングには慎重な検討が必要です。特に、急性腎障害患者においては、遅延の程度や適切な基準を確立することが課題です。

 

結論

急性腎障害が進行し、合併症がなく即座のRRTが必要ない場合、RRTの開始をより遅らせることはRRTなしでの生存に追加の利益をもたらすことはなく、むしろ死亡率に悪影響を与える可能性があります。今後の研究においては、患者数の増加や特定のサブグループにおける有益性の検討が求められます。臨床ガイドラインの策定や患者ケアの最適化に向けて、これらの結果が有益な示唆を提供することが期待されます。