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心臓手術後の収縮性心膜炎(PCP)

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0003497512018917

 

心臓手術後の収縮性心膜炎(PCP)は、心臓を堅く覆う心膜組織の密集と硬直により、拡張期の充填制限と心不全を引き起こす疾患です。この合併症は、放射線療法や心臓手術などの過去の治療によって引き起こされることがあり、その発症機序は複雑で不明確です。

 

PCPの発症機序

PCPは、心臓手術後に特有のものであり、その発症メカニズムはまだ完全には理解されていません。一般的には、胸部の放射線療法や前回の心臓手術(postoperative CP [PCP])などが主な原因とされています。ただし、「特発性」の症例も多く、これらは主要なサブグループの最大47%を占めています。

心臓手術の普及に伴い、PCPの症例数は過去数十年で増加していますが、その原因や予防策に関する知識は依然として不足しています。このブログでは、PCPの病態生理と臨床的特徴についてのエビデンスを検討し、予防のための情報を提供します。

 

診断と治療

PCPの診断は、臨床症状、エコー検査、およびCTスキャンによって引き起こされますが、その中でも左右心カテール検査がゴールドスタンダードとされています。心磁気共鳴も有効な診断手段であり、非手術後のCP患者では心エコー検査が厚い心膜を示さない場合があります。手術がほぼ唯一の効果的な治療法であり、特に厚くしっかりとした心膜が存在する場合は前方心膜切除が最適な戦略とされています。

 

PCPの臨床経過と特徴

心臓手術後のPCPは、他の原因とは異なる特徴を持っています。PCP患者は一般的に高齢で、男性、心筋梗塞や糖尿病の既往歴があることが特徴的です。しかし、PCP患者は他の病因に比べて心膜の石灰化が少なく、肺動脈、右心室、肺動脈楔入圧が他のサブグループよりも高い傾向があります。

 

PCPの病態理学的メカニズム

PCPの病態生理学は依然として解明されておらず、多因子性である可能性があります。手術終了時に心膜を閉鎖することが心室収縮の発展を促進すると最初に提案されましたが、多くの患者は手術終了時に心膜を開いたままであった。手術後の心膜滞留はPCPの発生の独立したリスク要因とされており、血液の心膜腔への滞留が持続的な心膜刺激と強固な癒着の形成を促す可能性があります。

 

PCPの発症と全身炎症

心臓手術は全身の炎症反応を引き起こすことが知られており、特に冠動脈バイパス手術では炎症マーカーの上昇がみられます。これが心膜切開後症候群(PPS)と呼ばれることがあります。PPSはPCP患者の中で頻繁に観察され、手術後における全身炎症反応がPCPの病態生理学に影響を与える可能性があります。

 

新たな仮説と未解明の側面

PCPの病態生理学は未解明のままであり、既知のリスク因子だけでは説明できない側面が存在します。手術時の微生物汚染がPCPの発症に影響を与える可能性が指摘されていますが、この仮説はまだ直接的な証拠が得られていません。一部の患者ではPCPが冠動脈バイパス手術後に冠動脈バイパス移植不全につながる可能性がありますが、一般的にはそれほど頻繁ではないようです。

 

結論

心臓手術後の収縮性心膜炎(PCP)は、謎に包まれた病態生理学的特徴を持つ合併症です。その発症メカニズムは複雑であり、まだ解明されていない側面が多く存在します。今後の研究が期待されますが、現在ではPCPの発見が遅れないように患者のフォローアップが重要であり、手術が必要な場合には適切な外科手技が採用されるべきです。新しい治療法や予防策の開発に向けて、PCPの謎を解くための研究が進んでいることを期待しましょう。