〇〇病院診療看護師(NP)のお勉強用

ただ勉強した内容のシェア(たまに活動報告)

1週間に1回投与のインスリン有用性は

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(23)00520-2/fulltext?dgcid=raven_jbs_etoc_email

 

インスリンは少ないほどよい

当然ですが,インスリンを注射する回数が少なければ少ないほど良いわけです.

打ち忘れの問題も減りますし,インスリンボールも減りますし,良いことづくめなわけです.

現代では,長時間作用型のインスリンがありますが,これ1本で良ければ1日1回打つだけなので,それでも進歩しているわけです.

なんで1日1回打ちとかにできないのかというと,インスリンは血糖値が上昇した際に分泌されるからです.

つまり,ゆっくりと分泌されるインスリンはそれで充足するはずですが,食後の追加分泌の分は当然不足することになります.

追加分泌の分の血糖上昇を放置するとどうなるかというと,血糖は下がりきらずに次の食事が入ることになり,更に上がり続けます.

絶食期間が長くなる朝の血糖値は下がるのかもしれませんが,平均血糖は上昇します.

つまり,HbA1cは上昇するということになります.

 

高齢者・特に認知症インスリン

高齢者の薬剤多剤併用はリスクになります.

死亡率の増加や転倒のリスクなど,さらには医療費増加の問題も生じます.

高齢者,特に認知症患者さんになると薬剤アドヒアランスの問題が生じます.

アドヒアランスとは,自分で病気のことを認識し,その結果薬剤を自分で理解して正しい服用方法ができるというようなニュアンスです.

コンプライアンスは,法令遵守のことで,薬剤コンプライアンスとは薬剤を指示通りきちんと飲めているかということになります.

そのため,本来は1日2回の薬剤が良い場合でも,可能な限り1回にまとめることで,アドヒアランスコンプライアンスは向上することになります.

100点をめざすのではなく,60点のギリギリ合格点を目指すような感じです.

もちろん高齢者でもアドヒアランスが良い方はたくさんいらっしゃいます.

そのような場合は,80点を目指す治療を患者さんと模索していけば良いのです.

そもそも高血糖は血管リスクを減らすということが,主要目標の1つになります.

併せて感染症や神経障害なども予防します.

これらの血管リスクを減らす努力をしたところで,寿命を先に迎えるのであればそんなに極端な血糖管理は不要になります.

健常人と同じ血統を目指した結果,逆に死亡率を増加させたという研究も存在します.

たとえば,ACCORD研究.

高血糖高浸透圧性非ケトン性昏睡にならない程度の高血糖は,時と場合によっては許容されるということです.

臨床的には,尿量が増加してきたときには注意が必要です.

血糖が高いと,尿中糖排泄が亢進し浸透圧利尿になります.

とうぜん,脱水になります.

その結果,HHSになります.

つまり,飲水行動を取れない人の血糖管理においては,そこそこでよいうという結論になります.

これは,日本糖尿病学会も同様の見解と言えます.

http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?content_id=66

 

週1回のインスリン

この研究は,アドヒアランスの不良な特に高齢者診療にとっては,強い味方となってくれそうです.

週1回で良い薬は,GLP-1という薬がありました.

これは,魔法の痩せ薬としても使われています.

本来の使い方ではないのですが,美容の観点から使われているのは,もしかしたらアンチエイジング効果なども将来的には期待されるのかもしれません.

実際に,メトフォルミンはアンチエイジング効果の可能性があるのではないか?という研究も存在するようですが,当然積極的に服用すべき薬剤ではありません.

週1回でよいインスリンの場合は,圧倒的に有利です.

個人的な経験は,2日に1回持続効果のあるインスリンを打っている方がいました.

厳密には,打ってもらっているということになりますが,この回数が週1回に減ることでみんなハッピーになれる可能性があります.

当然作用時間が長時間になれば,過量投与の際は回復まで1週間入院もしくは厳密に経過観察ということになるのかもしれません.

薬剤には,利点と欠点がありますので,正しく使うことができれば新薬にも期待が持てるということかもしれません.

とはいえ,新薬は基本的には薬価の問題や副作用の問題から積極的に使うべきではないとされています.

ただ,新薬も売れなければ経営として成立しないので,薬剤の問題は昔から金が絡む問題として,ナーバスな問題といえます.

 

以下ChatGPT

ONWARDS 4は、長期にわたりタイプ2糖尿病治療を受けている患者を対象に、1週間に1回の投与で使用できるインスリンアナログの一つであるアイコデック(icodec)と、1日に1回の投与で使用されるインスリングラルギンU100(glargine U100)の効果と安全性を比較するための研究です。この研究は、26週間の第3a相、ランダム化、オープンラベル、多施設、ターゲット指向、非劣性試験です。9つの国(ベルギー、インド、イタリア、日本、メキシコ、オランダ、ルーマニア、ロシア、アメリカ)の80の施設(外来クリニックおよび病院部門)で、HbA1c(糖化ヘモグロビン)が7.0-10.0%のタイプ2糖尿病の成人が対象でした。ランダムに割り当てられた患者の割合は1:1で、アイコデック投与群とグラルギンU100投与群に291人ずつでした。参加者の平均タイプ2糖尿病の継続期間は17.1年(標準偏差8.4)でした。

26週後の結果では、アイコデック群ではHbA1cの推定平均変化は-1.16パーセントポイント(ベースライン8.29%)であり、グラルギンU100群では-1.18パーセントポイント(ベースライン8.31%)であり、アイコデックはグラルギンU100と比較して非劣性が示されました(推定治療差0.02パーセントポイント、95%信頼区間-0.11から0.15、p<0.0001)。全体として、アイコデック群の291人中171人(59%)とグラルギンU100群の291人中167人(57%)が有害事象を経験しました。アイコデック群では22人(8%)の参加者が35の重篤な有害事象を報告し、グラルギンU100群では25人(9%)の参加者が33の重篤な有害事象を報告しました。また、治療群間の低血糖発作レベル2およびレベル3の発生率は同様でした。アイコデックに関しては新たな安全上の懸念は特定されませんでした。

この試験は、基礎ボーラス療法を受けている長期のタイプ2糖尿病患者において、アイコデックが1週間に1回の投与でグリセミックコントロールの改善を示し、基礎インスリン投与回数が少なく、ボーラスインスリン投与量が低くなり、低血糖のリスクも増加しないことを示しました。この試験の強みは、マスクされた持続的な血糖モニタリングの使用、高い試験完了率、多国籍で多様な人口の含まれていることです。制限事項としては、比較的短い試験期間とオープンラベルの設計があります。