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高齢者施設での除菌の感染予防効果

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2215254?query=clinical-medicine&cid=DM2297936_Non_Subscriber&bid=1907583103

背景

高齢者介護施設における感染、入院、および多剤耐性生物のコロニゼーションの高いリスクは、毎年160万から380,000人の入院およびこれに伴う死亡を引き起こすと推定されています。高齢者は高齢、傷害、医療機器、共存する医療状態などにより、感染に対する高いリスクにさらされています。この背景から、介護施設における感染防止プログラムは、社会的な活動、長期の滞在、および限られたリソースを考慮し、安全なケアと病原体の伝播の防止を目指すべきです。

また、高齢者介護施設における多剤耐性生物(MDRO)のキャリッジの普及率が病院(10-15%)よりも高く(65%)、これが感染のリスクを増加させています。ランダム化試験では、脱菌が健康管理関連感染の予防に効果があることが示されており、本研究では高齢者介護施設における普遍的な脱菌法の有効性を検証しました。

方法

この研究は、28の介護施設で行われ、18か月の基線期間と18か月の介入期間から構成されました。介入は、クロルヘキシジンを使用した通常の入浴とシャワー、および入院初日から5日間は鼻ポビドンヨードを1日2回、その後は2週ごとに5日間1日2回の投与を含みます。主要アウトカムは感染による入院転送であり、二次的アウトカムは任意の理由での入院転送でした。データは28の介護施設における28,956人の入居者から収集され、統計的解析にはリグレッションモデルが使用されました。

結果

通常のケア群では感染による入院転送のリスクは62.2%(施設平均)であり、介入期間中も62.6%でした。これに対して、脱菌群では感染による入院転送のリスクが16.6%低減しました。また、通常のケア群では基線期間に36.6%が任意の理由での入院転送であり、介入期間には39.2%に上昇。脱菌群では任意の理由での入院転送のリスクが14.6%低減しました。脱菌法の導入により、感染関連の入院転送を防ぐための必要な治療数は9.7人、任意の理由での入院転送を防ぐためには8.9人でした。

考察

高齢者介護施設において、クロルヘキシジンと鼻ヨードフォールを使用した普遍的な脱菌法が通常のケアよりも感染による入院転送のリスクを有意に低減させた結果、深刻な感染の予防が比較的簡単な介入によって可能であることが示唆されました。また、この介入は医療資源の節約に寄与する可能性があります。MDROの普及率も低下し、普遍的な脱菌法が高齢者介護施設において有益であることが示されました。

結論

高齢者介護施設におけるクロルヘキシジンと鼻ヨードフォールを使用した普遍的な脱菌法は、感染による入院転送のリスクを有意に低減させ、医療資源の節約に寄与する可能性があります。感染関連の入院転送を防ぐために必要な治療数が比較的低いことから、この介入は実施可能であり、高齢者介護施設において広く採用される可能性があります。