輸液の目的4つの種類
ここでの話は,いわゆる細胞外液をどのような目的で輸液を行うかということになります.
体の中に輸液が入る場合は,以下の4つの理由・目的により行われることになります.
Resuscitation fluid
これはショック時の輸液の認識になります.
色んな理由により血管内容量減少が起こると,最初は頻脈などで代償できますが,そのうち破綻します.
破綻してしまうと,乳酸が上昇したり血圧が下がったりします.
敗血症の際は,30ml/kg/hrの初期輸液が推奨されています.
60kgの人では1800mlなので,500mlの細胞外液を4本入れてダメなら輸液を諦めるという感じです.
この状態を「輸液反応性がない」と表現します.
詳細には,輸液反応性は心拍出量の変化率で評価しますが,いわゆる血圧が低下するショックの場合は血圧が上がるかどうかで,ざっくり判断することになります.
Maintanance fluid
いわゆる維持輸液と呼ばれるものです.
例えば「絶食なので30ml/kg/Dayとか1ml/kg/hrで輸液入れときました」と言うやつです.
一般的には,細胞外液が使用されます.
細胞外液の場合は,Kが少なくNaが多いのが特徴です.
また蘇生に使う輸液はブドウ糖が入っていません.
Naが低めでKが高めの場合には,細胞外液(Ballanced Crystalloid)での輸液は生理学的には理にかなっているといえます.
ちなみに500mlに約4gのNa換算での塩が含まれます.
1日4本だと約16gの塩分負荷になります.
また,絶食だから糖も入れておこうとなると,細胞内シフト+Intake不足の低K血症になります.
その場合は,3号液と呼ばれる輸液が行われますが,入院中の患者さんの場合は低Na血症はよく見られるのでNaへの注意が必要になります.
ちなみに3号液の場合は,塩分換算だと約1gのになります.
これらの輸液を,主に体液量評価と電解質により選択されます.
Replacement fluid
外科術後患者さんに多い輸液になります.
例えば,腸液は細胞外液と同じような組成と言われています.
そのため,出た分は同じ量だけ補うことが必要と言われます.
とはいっても,この表現は初学者向けの表現で,実際はきちんと体液量を評価して輸液スピートが選択されます.
Replacementとは「置換」なので,先に書いたように出た分を入れるという輸液になります.
Fluid creep
これはいわゆるつまり予防の輸液です.
施設によりますが,2-6ml/hr程度が行われるのではないでしょうか.
中心静脈ラインは重症患者さんの場合は,トリプルが選択されます.
つまり3つのルートがあります.
この3つのルートでつまり予防を行う場合は,約300ml/日の生理食塩水が体内に入ることになります.
これはただの閉塞予防なので,無駄な輸液の代表ですが仕方のない輸液とも言えます.
中心静脈の場合は,必要に応じてルート数を減らすか,生食ロックやヘパリン生食ロックを行えば不要な輸液を減らすことは可能です.
ただし重症患者さんの場合は,必要がありルートを使用しているので,そもそもロックを行うことは少ないと思われます.
参考資料
参考資料は,以下です.