【TRANSFORM-HF trial 2023 JAMA】 トルセミドとフロセミドの比較
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2800428
背景
通常体液管理目的に最も使用されるのは,利尿剤の中でもフロセミドです.
臨床的にも,ダントツで98%くらいはフロセミドが使われているように思います.
これが病棟で退院に向けた内服管理などのフェーズに入ると,他の利尿剤が追加されてくる印象です.
そもそもフロセミドは,内服薬の場合はバイオアベイラビリティの個人差がとても大きいと言われています.
そして特に緊急で体液のReductionが必要な場合は,フロセミドの静注薬が好んで使用されます.
これは,効果が最も得られるのがフロセミドだったと記憶しています.
今回の研究は,心不全で入院した患者さんに対する,トルセミドとフロセミドの比較研究です.
プライマリアウトカムは,イベント発生までの全死亡率に設定されました.
合計2850症例の集積が予定され,60施設の米国の病院で症例集積が行われました.
ちなみに,Open label試験になります.
Open labelは盲検化(ブラインド)されていない研究のため,質を落とす要因の1つになります.
なんでOpen label試験になったのかはわかりませんが,大変です.
結果
合計2859症例が集積され,年齢中央値は65歳でした.
約37%は女性で,約34%は黒人でした.
フォローアップ期間は約17ヶ月で,113症例離脱しました.
死亡はトルセミド群で373/1431(26.1%)vs フロセミド群で374/1428(26.2%)でした.
他にも,12ヶ月時点での死亡率の他に,期間中の入院率なども比較されましたが,有意差は認めませんでした.
まとめ
今回はトラセミド群で約20%の死亡率減少効果を期待して算出された研究でしたが,有意差は認めませんでした.
つまり今までと変わらず,普通に使う分にはフロセミドで十分だと思われました.